「エコ」するイメージ!
ポンプの選定では、必要とする能力より少し余裕をもった選び方をするのが、通常です。そして、井戸性能以上のポンプが設置されている場合はには、井戸性能に合うようにポンプを調整します。
そこで、普段のポンプの使い方は、ポンプの持つ、能力の全てを使わずに、バルブにて水量・水圧の調整を行っています。
ここで、せっかく作った「水のエネルギーポテンシャル」の調整分を捨てることになってしまいます。
自動車に例えるなら、一定のアクセルを踏みながら、ブレーキを踏んで速度を調整するようなイメージです。そう、バルブはブレーキの役目です。
「バルブを締める」=「ブレーキを踏む」なのです。
これでは、もったいないですよね。速度を落としたいなら、まずはアクセルを緩めるように、調整するのが良いに決まっています。
しかし、通常のポンプ制御ではアクセル調整にあたる機能が付いておりません。ポンプは常に一定の速度で回ろうとするのです。そのアクセル調整をする機能に当たるものがインバーター(周波数制御機)なのです。
工藤電業では、ポンプの運転を商用運転バルブ制御から、インバーター制御運転に、変更することで、エネルギーロスを減らし、より使いやすく、かつ「エコロジーになる提案」をさせていただいております。
「エコ」を詳しく!
さて、先ほどのイメージで概要は、つかんでもらったと思います。目的の「水」の制御、バルブ制御でも、バルブを絞る事で、若干ですが入力電流が下がり、結果的には電力量は下がります。(右下表の薄青の曲線がゆっくり左下がりである事)それは、バルブを絞る事で揚水量が減る事で、インペラーにかかるトルクが減るからです。
しかしインバーター運転では、水量水圧に合わせた、回転数に下げることで、出力電圧が下がり、
INV出力電力=V電圧×I電流が小さくなります。これに加え、速度が下がるに従って、すなわち水量が少ない場合は、負荷トルクも小さくなるのでより一層の効果がえられます。左下の表でも、歴然の結果が読み取れます。
消費電力は回転数の3乗に比例します。よって、回転数を減らすような使用方法の場合は、大きく消費電力を減らす作用に働きます。一方、定格周波数(50Hz/60Hz地域により)に近い周波数もしくは定格周波数である場合、インバーター損(インバーターで使用する電力)があるためエコロジーとしては不向きです。
インバーター○利点もあれば×欠点もある
○利点
- 使用水量揚程が低い時は、消費電力が少ない
- ポンプのON/OFF回数が低減でき、モーターにやさしい
- インバーターからポンプまでの配線が約1ランク細く出来る
- よりきめ細かい、制御が可能になる
×欠点
- 初期費用(イニシャルコスト)が高価になる
- 制御装置が、大きくなりがち
- 制御盤の発熱対策が必要である
- 高周波ノイズ対策が必要である
尚、初期費用(イニシャルコスト)は、使用状況によって、
消費電力が低くなる→電力料金が下がる
によって、ある期間が過ぎることで、初期費用(イニシャルコスト)を運転費用差が上回ってしまいます。
一時的に高価に見える設備であっても、実は経済的にも、お得になるケースが多いようなので、お客様の必要設備、現状設備についてお気軽に相談ください。必要の有無から、お客様に合ったトータル設備をご提案させていただきます。
施工例で実感をつかむ
◎宮城県大崎市古川 工業用 2009年3月
15kw水中キャンドモーター(深井戸水中モーターポンプ)にて、施工した例です。
毎分1000リットルの水量で運転した場合の「バルブ制御」×「インバーター制御」比較とその差
「バルブ制御」
平衡三相交流
実測値:線間電圧207V・線電流61A
平均電力P=√3VIcosφより
√3×207V×61A×0.9力率=19.7kW
「インバーター制御」
直接測定値より =7.7kW
よって、消費電力差は
19.7kW-7.7kW=12kwのエコが発生します。
概算試算のエコ度は、
CO2排出削減効果は(0.555kg/kWh~0.42kg/kWhより)
0.555kg×12kW×24時間×365日=58,341.6kg
約5万8千kgの削減
電力料金の試算をすると(17円/kWhとすると)
17円×12kW×24時間×365日=1,787,040円
約178万円もお得となります。
既存のポンプ制御を、インバーター制御に変更しても「地球にエコ」「お財布にエコ」となるのが分かると思います。